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「探偵物語」や「ルパン三世」の方法論で演じる大泉洋はハマリ役だが、全体的な映画の雰囲気にオリジナリティが感じられない。コメディでありながら、ハードボイルドな味付けをするのは難しいのだろうか。ラストシーンの小雪、キレた表情の高嶋政伸が良い。
「貧しくも精一杯生きる小市民の日常」などと言う生易しい映画ではない。もっと皮肉的・反語的で、グロテスクな群像劇でしかない。正常な人間は一人もいないが、誰一人として幸福ではない。しかしそれが決して不幸に見えないのは、全員が異常者だからだ。我々は、優しくて純粋な乞食の少年の死を、残酷な気持ちで観ざるを得ない。六ちゃんの空想の電車をユーモアとしてしか捉えざるを得ない。その本質に気付いた時、この映画にあらわれる全てのイメージが頭から離れなくなる。初のカラー作品でありながら、色彩感覚がずば抜けているのも原因の一つだろうか。
黒澤にとって最大の成功点とは、三船敏郎の飄々とした表情を発見したことかも知れない。とにかく三船のキャラクター造形が素晴らしく、都合良く進むストーリーも気にならない。「用心棒」と違ってコミカルな演出のせいで緊張感はないが、ラストの仲代達矢との対峙に「サムライ」的な格好良さが集約されている。
関連:用心棒
トラブル・イン・ハリウッド
評価:★★☆☆☆
原題:What Just Happened
監督:Barry Levinson
出演:Robert De Niro/Bruce Willis
デ・ニーロが好きそうな脚本だと思った。映画プロデューサーという仕事の大変さはわかるが、それが映画的な物語として成立するわけではない。ブルース・ウィリスが髭を剃ろうが残そうがどうでもよいが、結果的にその部分がクライマックスとなる。無駄な早回しをするくらいなら、デ・ニーロの表情を的確に追うべきだった。
ドッグヴィル
評価:★★★★☆
原題:Dogville
監督:Lars Von Trier
出演:Nicole Kidman/Paul Bettany
一つの村を白線と簡素なセットだけで表現したことが、この映画の最も刺激的な要素だと思う。見えない扉の向こうで悲劇が起こっていることを男は知らないが、画面には全てが映し出されてしまう。心の変遷が描かれず、唐突に鞍替えする登場人物に感情移入できるはずもなく、ラストはあっさりし過ぎている。