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ギラギラとした下町の風景と、若さ溢れる三船の暑苦しさが、白黒の画面でもよく伝わってくる。意外にも老練な刑事役の志村喬が恰好良い。刑事ドラマの元祖的な作品だが、戦後間もない頃に作られたとは思えないくらい緻密な映像表現だ。
こういった昭和の泥臭い映画が持つエネルギーというか、ほとばしる情熱というのは、今では失われてしまったように思う。確かに戦後間もない日本に対して哀愁や憧憬を抱くようなことは出来ず、強く時代性が表れた映画だが、そこに色付く作り手や役者達の情念は感じられる。独特の色彩感覚を持つ鈴木清順の、まだ洗練されてはいないが突出した才能が噴出している。
ノーカントリー
評価:★★★☆☆
原題:No Country For Old Men
監督:Joel Coen/Ethan Coen
出演:Javier Bardem/Tommy Lee Jones
原題の「Old Men」を訳さないとトミー・リー・ジョーンズの悲哀が浮かび上がらないように思うが、誰も理解できない犯罪が増加しているのは何もアメリカだけではないし、老人だけが諦観を抱いているのでもない。銃撃シーンが多いわりに、全体的に静かな印象。ラストも潔い描き方で好感が持てた。