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予想していたよりも官能的ではなかったが、その先入観が余計にこの重い物語を逼迫したものにした。アイリスは母の死をセックスで忘れようとしたわけではない。ラストで自身が歌う「アローン・アゲイン」に象徴されるように、結局自分は一人であるという寂しさ・どうしようもなさを補完したかっただけだ。だがそこには同じ哀しみを背負う姉がいたり、自分の夢があったりするわけで、決してネガティブな映画ではない。
一見バイオレンスでアクション性に富む映画だが、その実すごく心理的で無機質な作品だ。ブラッド・ピット、エドワード・ノートンの演技、サイコな表情が刺激的。エンディングのピクシーズもセンスが良い。
ギラギラとした下町の風景と、若さ溢れる三船の暑苦しさが、白黒の画面でもよく伝わってくる。意外にも老練な刑事役の志村喬が恰好良い。刑事ドラマの元祖的な作品だが、戦後間もない頃に作られたとは思えないくらい緻密な映像表現だ。
脚本の所々に欠陥があり、冗長過ぎたり、あるいは説明不足になっていたりする。上原美佐はその眼力と気丈さはハマリ役だが、やはり下手な演技だと思う。百姓二人はユーモラスだが、あまりに強欲なキャラクター造形に段々苛立ってきてしまう。
タイム・パラドックスSFとしては精緻に作り込まれており、視聴者をミスリードしていく構成も巧い。ブラッド・ピットのキレた演技が最高で、主人公のブルース・ウィリスはともかくとして、ヒロインであるマデリーン・ストウの印象が極端に薄い。